TEDxFukuokaスピーカー・チームラボ代表、
猪子さんによるプレゼンテーション。
日本独自の空間認識と、
その文化的背景が現代の我々にもたらす影響について。
文化的依存度
情報社会によって、言語化・論理化できる領域の共有スピードが非常に高まっている。
そのために差異が生まれにくく(どれも似たようなものに)なっていく。
一方で、『カッコイイ、カワイイ、キモチイイ、オモロイ』という言葉のように
言語や論理では(なぜカワイイのかを明確に指摘できないという意味で)
再現するのには不十分な領域を文化依存度の高い領域と定義づけている。
このような領域は、クリエイティブの方法論が(言語化・論理化出来ないため)
共有されにくく、そういった領域にのみ、優位性が生まれていく。
この文化依存度の高い領域の中で、日本の文化を紐解きたいと考える。
超主観空間
日本人は、西洋のパースペクティブとは明らかに異なる空間認識をしている。
・庭園を例に西洋の空間認識は、対象に向かう直進性
・借景などに見られるように、日本は空間をレイヤーで捉える
・西洋のパースペクティブは、画家から見た景色と、モデルから見た景色が異なる。
・日本の空間認識では、大和絵を見てもわかるように、
画家もモデルも同じ景色を見ているように描かれる。絵の中に描き手がいる、という視点。
→絵を見ながら、絵の中の人物になりきっても、絵を見続けられる
という点が西洋との大きな違い。
この日本独自の空間認識を超主観空間と名付ける。
このような文化的な背景から、ドラゴンクエストや、スーパーマリオなど、
平面的な画面描写でありながら、レイヤーによって空間を表現する形式が生まれたのでは。
クリエイティビティというものは、自分が思っている以上に
文化的背景の影響を受けている。
文化は、長い歴史の中で、
非言語に、そして、無自覚に、
連続しながら、新たなものを生んでいく。